あなたの
Tシャツのすそから手を入れて
日焼けした背中に指を這わせ
なめらかな筋肉の厚みを
たしかめるのが好きだ
二の腕から肩へと続く
私を抱く
腕の強さを
たしかめるのが好きだ
抱きすくめられて
身動きできなくて
息も詰まりそうになる
その瞬間が好きだ
久しぶりに雨が降った
はじめはぱらぱらと
それから激しく
これでもかというくらいに
降った
いつもは嫌いな雨だけど
猛暑の後はまさに恵みの雨
乾いた大地にしみこんで
草や花を潤す
同じ雨なのに
今日の雨は
やさしい雨
別れた
アノ人を
想い出す
アノ時の
苦しいほどの
気持ちが
よみがえる
こうやって
過去を
振り返って
生きている
過去と現在を
行き来しながら・・・
現在地点を
確認するために
目の前をスーッと横切る黒い影
あっ、と振り返ると
ツバメだった
目の前のドアの上に
小さな巣があった
たぶん、あなたとの細かい場面は忘れても
何年たってもあそこにあったツバメの巣のことは
忘れないと思った
記憶なんて曖昧で哀しいものだと思った・・・
今日の風は後ろ向き
アゲインストの風
そんなときもあるさ
誰かに慰めてもらいたい
そんなときもあるさ
180度風向きが変わって
前向きになるまで
今は待つだけ
時間をかけるだけ
肌寒い午後
今日はアロマポットで
ゆったりと香りを楽しんでます
キャンドルの
ゆらゆら揺れる光
温まって流れ出す香り
ちっちゃなオレンジ色の光
あったかくて
手をかざしてみました